「“自分のゴルフ”を変えてはいけないことを学びました」重永亜斗夢

CALLAWAY STAFF PLAYER ATOMU SHIGENAGA
スタッフプレーヤーインタビュー 重永亜斗夢

前半戦と後半戦で、明暗が分かれた2016年。重永亜斗夢は、足元を見つめ直し、原点に立ち戻った。少し前までおぼろげだった勝利の輪郭が、いまはもう、くっきりとしている。

SS 2017-04-27 13.49.07

 それはまるで、予言者の言葉のようだった。昨年のツアーが始まる前、重永亜斗夢はインタビューで、こんなことを語っていた。
「今年は自分のなかで、初戦から何試合かが勝負だと思っているので、そこで確実にシード権内の賞金をボンッと稼いで、そこからまた、優勝を狙えるようなゴルフをしていけたらなと思っています」
 実際、2016年の戦いが始まってみると、重永亜斗夢の名はリーダーボードの上位に連なりつづけた。開幕戦のSMBCシンガポールオープンこそ予選落ちを喫したものの、国内初戦の東建ホームメイトカップでは初日を首位タイで飛び出し、最終的に4位タイ。パナソニックオープンで14位タイ。ISPSハンダグローバルカップで12位タイ、長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップで9位タイ、国内メジャー2戦目の日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯でも7位タイ。開幕戦から10戦を戦ったなかで、半分となる5回のトップ15位以内を記録し、稼いだ賞金額も2000万円を突破した。まさに有言実行で、あっという間にシード権をほぼ確定させてしまった。
「すごく幸先よくスタートできました。国内の初戦では、調子自体はそれほど良くなかったのですが、悪いなりにあの成績で収まって、その後、だんだん調子が良くなっていきました。トップ10に何回か入って、自分でも自信が出てきていましたね」

ss 2017-04-27 13.50.24
 本人はこのように当時の心境を振り返るが、こうなれば、先述の言葉のもう一方の“予言”も、具体的なターゲットとして見えてくるのは自然な流れだ。
「後半に入る前に、優勝を目指しても問題がないから、そういうゴルフをしようと思ったんです。アグレッシブにどんどんピンを狙っていって。それだけの技術が、自分にできてきていると思っていましたから」
 しかしながら、ことはそううまくは運ばなかった。
9月のフジサンケイクラシック、ANAオープンでも12位タイ、6位タイに入ったものの、そこからブレーキがかかった。アジアパシフィック ダイヤモンドカップからの出場3試合で予選落ち。
「やっぱり、そんなに甘いものじゃないなと思いましたね。調子も悪くなって、うまくいかないから精神的にも不安定になって。正直、焦りがあったんですね。優勝できるかも、という考えが生まれたときに、ゴルフに焦りが出てきて、『なんで、うまくいかないんだろう』と。それで空回りしてしまうんです」
 終盤戦に入っても、低迷は続いた。10月終わりのブリヂストンオープンから3戦で、50位タイ、予選カット、57位タイ。序盤戦の快進撃は、遠い過去のようだった。何かを変えるときが来ていた。
「いままで、“自分のゴルフ”に徹してきて上位に食い込んでいたので、それを突き詰めてもう少し自分なりに考えてやれば、優勝に届くという可能性があった。それなのに、自分は違うふうに考えてしまった。優勝するまでの技術が、まだ、できていなかったんですね。それで、考え方をまた元に戻そうと思ったんです。自分のゴルフは、グリーンの真んなかに打っていって、そこから入れるか、寄せるかという、手堅いゴルフ」

熊本地震から1年。また、新たな気持ちで

11月中旬の三井住友VISA太平洋マスターズ(47位タイ)から原点に戻った。おかげで、続く2試合、ダンロップフェニックストーナメント(26位タイ)とカシオワールドオープン(28位タイ)では、感触をつかんでのシーズンフィニッシュを迎えることができた。
「成績自体はそれほど良くはありませんでしたが、かなり元のゴルフに戻せたかなと思いました。やっぱり、自分のゴルフスタイルは変えではダメだということを勉強しましたし、そのなかで、しっかり技術を上げていかなければいけないということがわかりましたね」
 最終的には、賞金ランキングを2015年の46位から、自己最高の40位へと浮上し、獲得した賞金も2373万6250円から、3041万3880円へと大きく積み上げた。トップ10も、2回から4回へと増えた。しかし、本人の反応はやはり、「満足感は半分半分」だ。
「前年より成績が上がっていることはすごく満足していますし、プラスに考えていますが、最終戦のゴルフ日本シリーズJTカップに出られなかったのが悔しいですね。優勝して、出たかった。賞金でも、あと500万円ちょっとでしたし。前半は良くても、結果がすべて。結果だけを見たら、やはり最終戦に出られなかったことに関しての悔しさはあります」

ss 2017-04-27 13.50.34

 それでも、優勝がかなり現実のものとして視界に入ってきたシーズンであったことは、自他ともに認めるところだ。
「前半戦から中盤戦までの調子で、コースが合えば優勝もできるかなという感触はありました。でも、その調子が4日間続くのか、という課題もありますし。まだまだ技術的にも足りないです。とくに、アプローチが下手。1打、2打のミスがとても大きくなるので、もう少し、もったいないことをしないように、これから練習をしていかなくてはいけないと思っています。あとは、精神的にも、だんだん優勝が見えてきたときに、いかに自分のゴルフをしなければいけないか、できていかなければいけないかということですね。
 だから今年は、自分のゴルフをしていって、すべてはそれからですよね。その結果、優勝につながれば。まずはしっかり、自分のゴルフを続けられるようにしたいです」
 もちろん、ちょうど1年前、自らを奮い立たせた、地元での“あの出来事”も、決して忘れてはいない。
「いままでだったら、ある程度がんばろうという気持ちだったのが、熊本地震があったことで、もっと自分のなかで突き詰めてがんばってやらなくちゃいけない、熊本のためにという思いが、プラスアルファ乗ったことは確かです。それで昨年は、すごくゴルフを頑張れたというところはあります。あれから1年。気が引き締まるというか、いまはまた新たに、という気持ちですね」

重永亜斗夢
出身地:熊本県
生年月日:1988年9月14日
出身校:日本大学

<2017年 CALLAWAY STAFF PLAYER インタビュー>
「単純に楽しむのではなく、チャレンジを楽しみたい」上田桃子
「勝つまでは、まだ私のなかで復活したとは言えないんです」佐伯三貴
「2017年は、毎週テレビ中継に映ることが目標です」藤田光里